ろくでなしのバラッド―人間は賭けをする動物である
森巣 博

定価: ¥ 580
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発売日: 2000-07
発売元: 小学館
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カシノという異世界へ軽やかに誘ってくれます
世界各地のカシノに生息する個性豊かな賭人たち。彼らとの邂逅そして勝負を通して、「賭博」というものの本質を鋭く描いているのが、本作品です。ブラックジャック、バカラといったポピュラーなものから、著者が得意とする牌九(パイガオ)まで、多彩なゲームが登場しますが、ルールやセオリーについての簡単な説明は抑えられているので、カシノ未経験者にも十分楽しめます。また、「賭博」を触媒にして語る歴史論や文化論も、世界を転戦して生き抜いてきた「常打ち賭人」らしい独特の切り口があって、新鮮で面白い。全編を通して、簡潔かつユーモア溢れる文章でまとめられているので、肩肘張らずに最後まで一気に読めるでしょう。ありきたりの日常から刺激溢れる異世界へ、ふわりと誘ってくれる一冊です。
あこがれの常打ち賭人 デビュー作
森巣博のデビュー作。自分の体験、ほぼノンフィクションにちょっと脚色した創作スタイルは、今と変わらない。職業は常打ち賭人。かっこいい。
バカラ、ブラックジャック、ルーレット、牌九、大小とカシノで定番のゲームに魅入られてしまった人々の悲喜こもごもを描く。カシノで勝ち続けるという事は、確率を考えればまさに奇跡としか言えない。全てのゲームは胴元が数%有利になるようにできており、それによって彼らは莫大な収益を上げているのだから。しかし、いや、だからこそ人はその奇跡を信じて、カシノに通う。全ての財産を奪われ、廃人になってしまう悲劇もあれば、たった一度の幸運をつかみ、大金を得るハッピーエンドもある。そこには人生がぎゅっと凝縮してつまっている。だから、カシノは面白い。
遊戯としての賭博か、それとも・・・
森巣博氏の著作を読むのは、「無境界の人」、「無境界家族」に続き、三冊目である。本書が処女作とのことであるが、筆力、話の展開、その奥深さとも満足の行くものであり、十分本書を楽しませていただいた。私自身は、合法的なカジノがあるオーストラリアに滞在しているにも係わらず、ギャンブルはほとんどしない(メルボルンカップだけ)のであるが、著者の言う「遊戯としての賭博」を楽しむことは大いに賛成である。しかし、著者が勝率が高いと豪語する「合意の略奪闘争としての賭博」には全く共感を憶えない。なぜなら、賭博には何ら生産性が無く、いわゆるゼロサムゲームであるからである。生産性の無いものは、ホビー、趣味、楽しみとしてやる分には何も批判するにあたらない。しかし、一旦生存のための(生きるための)収入源として賭博を見ると、極めて憂鬱になるのである。
蛇足ではあるが、装丁の地球は北が右に90度回転しており(北が三時の方向)、なんとなく気になっている。「無境界家族」の装丁では日本地図の南北が逆になっており、オーストラリアに昔から冗談として売られている南北逆さまの世界地図を彷彿させるものであったが、本装丁になにか意味があるのだろうか・・・。