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世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学

世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学

世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学
定価: ¥ 2,520
販売価格: ¥ 2,520
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発売日: 2006-03
発売元: 文一総合出版
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現在日本で進行中の深刻な危機
なかなかどきっとする題名である.しかしほとんどの人にとってあまり知られていない深刻な問題が日本の山で今進行していることをずばっと現している.そしてそれはこの本の表カバーの2枚の写真で明らかである.1963年には鬱蒼と茂る森が,1997年には草原の上に立ち枯れた樹木が残る明るい姿に変貌してしまっている.
昭和40年代ぐらいからいろいろな要因が重なり,日本ではシカが増え始めている.そしてそれは生態系のバランスを崩しているのだ.本書はこの問題について多面的にとらえた論考となっている.特に論じられているのは奈良県の大台ヶ原と屋久島である.
何となく聞いたことがあるような気もしていたが,改めて通して読むと難しい問題の全貌が見えてくるようだ.単純にオオカミの絶滅が引き起こした問題(それなら明治時代に問題が起こっていたはず)ではなく,基本は狩猟圧の減少と針葉樹林の大規模な植樹,林道の整備,そしてイヌの放し飼いの減少などの複合的な問題らしい.そしてこのまま放置すると豊かな森が草原に変わってしまうリスクがあるのだ.
解決法は基本的には管理された個体管理,つまり調査を継続して結果にフィードバックをかけつつシカを駆除していくというものと,緊急性のある植物群落にはフェンスを張ることとの組み合わせになるようだ.対案作成や実行に当たっては当然ながら,費用の問題,環境保護者内のイデオロギー的な問題(シカは在来種なのだから,放置しても本来バランスするはず,あるいは野生動物を駆除すべきでないなど)など,解決の難しい問題がたくさんあるようである.
最終的には日本人はどういう環境を望むのかという価値観の問題となるが,何とか関係者の同意により豊かな動植物層を保つ解決にいたってほしいと思わずにはいられない.

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